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the musing and the breathing of immanence [path-art]

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根室出身の池田氏、12歳の時にご両親から東京土産でもらった油絵のセットで初めて油彩を描き、17歳の時には喫茶店で個展を開かれたそうです。
大学に進まれてからは油彩を専攻。でもこのまま描いていて良いのか悩まれている時に聞いたラジオ。
そこから銅への興味が始まりました。
銅版画の勉強は独学。版画を始めて1年ほどした頃にアントニ・タピエス氏の回顧展を見に行かれました。
絵の上にバッテンを描く作品。
「絵画は人生を反省するひとつの方法である」という彼の言葉に感動し、池田氏の初期の作品には彼の作品同様、バッテンが入っているのです。
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子供の頃の記憶、子供の時にみた光景、音、匂い、そういったものが池田氏の頭の中にはたくさん詰まっています。
おそらく作品づくりにはそれらが大きく影響していることは間違いないのではないでしょうか。
自然を題材になっているものが多いのですが、ただ単に見たものを上手に写して作品にするというのではなく、
自然に対する畏敬の念がそこには存在するのです。
常に変化する自然と時間、その瞬間を切り取って作品が出来上がります。
現在も継続中のプロジェクト 根室での「落石計画」には重要なファクターとして茶室があります。
廃墟の中に忽然とある銅の茶室。その茶室には特別な想いがあるそうです。
茶室は人と人が出会う場所。入った人が必ず出て行く場所。
「僕たちは生きてこの地上にいて、いずれいなくなる。不在というかabsenceというか・・・
その中でちょっと食事をいただいて、お茶を飲む。そこに絵が飾ってあったり、相手の気持ちがあったり。
僕は昔、銅版画は私自身の鏡であるといった時があるんです。それと同じように自分を映すものという意味かな。」
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今、作りたいのは小さな小屋とか。
今まで拾ってきた様々な材料で、小屋というか空間を作りたいそうです。
しかも根室、落石の別な場所に。
そして、そこにも茶室を作りたいとおっしゃっていました。

銅版とは・・・自身の姿を写してきたもの。自身の生き方そのものを写してきたもの。
作品づくりとは・・・普通の人にとっての労働と同じ。
ただ、求められていないのに作っているということは言えるかもしれません・・と。
アートとは・・・自分の中で信じたものを、自分の身体の中に発生したものを、
手や何かを使って外へ出すということ。超越したもの・・・。

彼の銅版画は銅の上に傷をつけることによって、それをもう一度プレス機というものを通して見えるようにする。視覚化することなのです。
自分の過ごしてきた時間を見えるようにする。そこにあるキーワードは時の流れ、記憶。。。。。
テーマはその時によって変化するそうですが、大きなテーマは生きる、生きていることのメッセージ。
たくさんの資料を用意してくださったり、とても丁寧に質問に応えてくださるその姿に、私は勝手に親しみやすさを感じてしまいました。
おそらくその姿勢は自然に対するものと同じく、何に対しても同じなのだと思います。
それがまさしく池田氏であり、その彼の生きてきた瞬間瞬間がひとつひとつの作品になって今、そこに展示されているのです。
(池田良二展〜静慮と精神の息吹〜は11/27まで釧路市立美術館で開催中)