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Achromatic color [path-art]

そもそも絵を描く環境に育った羽生輝氏。
私にとって、羽生氏の作品のイメージは道東の寒い冬の浜辺でした。
ところがここ数年、釧路湿原の春夏秋冬を描かれています。
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大学卒業の時に何を描くか・・・
4年間の集大成とこれからのモチーフを決めることだと思った。それが浜でした。
「子供の頃から浜で遊んだんです。人前で絵を描くことが恥ずかしくて苦手。
浜に行くと誰もいないでしょ。白いキャンバスに黒い絵の具だけで描くことができる。
それは秋口から冬、雪どけにかけて。なおさら人はいないですよね。」
実はもとになったのは、2つの出来事でした。ひとつは、上村松篁の作品との出会い。
彫刻も油彩も見ていたけれど、他のことをみんな忘れるくらいに、これが日本画という絵を見て、
いつかやりたいと思ったそうです。
そして、モチーフはゴッホのデッサンがもとになっているそう。
浜の番屋の白黒の世界とそっくりのものがあったり、他にも小屋の前に佇む女の作品など。
物乞いしている女性が立っているもの。そして、その建物には明るい灯が見えている。
ホッとするあかり。この灯が浜を描いた時に使うものにつながっています。
「こんな寒い釧路の浜でも冬は漁がないかもしれないけれど、生活している証。そういう温かさを表現したくて。」
この二人を未だに追っかけているとおっしゃっていました。
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ある時にある人から「魚の匂いがしてこない」と言われその言葉でさらに浜にのめり込みます。
12月の末に桂恋の崖で写生していたら、おまわりさんに声をかけられたり、
ウトロで2月の終わり頃写生した時に画用紙に墨汁で描いていたら、凍ってしまったり。
寒さを表現するには耐寒デッサン。
素手で描くとどれだけ冷たいのかがわかるので、少しは寒さが絵にあらわれてくるのでは?と思って描いているそうです。
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「そういう絵を描いていると辛いんです。寒そうで厳しい。描いていて辛いんですよ。
そこで、たまに湿原に行く。春夏秋冬それぞれに美しく、ホッとするんですよ」
羽生輝が描いた湿原は重さが違うと。
「あの重さは大地だから。見た時に見飽きないもの、時間がたっても見飽きない絵はやっぱり軽くないよね。」
そのために川下りをして転覆もしたり、いろいろなことをなさったそう。
足を運ぶことによって湿原に少しでも触れることがモットー。だから浜と同じなのです。
浜を描くこと50年。現在は湿原を描かれていますが、湿原の途中からまた浜に戻るそう。なぜなら、今までと違った視点で見ることができると思うから。
できることなら無彩色。その後湿原を白と黒で。
白と黒だけで色を感じる世界。これを表現したいそうです。
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作品を制作する上でのこだわりは、空気を感じること、風を感じること、時には匂いを感じること、それを表現する。

「叔父、舟越保武に言われたんです。人に人格・品格が必要なように、絵にも画格・品格がなくちゃダメよと。
だからたくさんの本も読み、絵を描くだけではなく、勉強もしたけれどそれで備わっていないから寂しいけれどね。
あそこに叔父が描いたイエスの絵があるでしょ、この部屋入るとシャキッとするんです。」

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